
レンタルモール「カウリル」やレンタル専用在庫管理ツール「ZAIKA」を運営するTENTは4月22日、15th Rock Ventures、セゾンベンチャーズ、JR東日本スタートアップを含む4社より総額で約1.1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。
同社の主力事業であるカウリルは、言わば「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」のようなオンラインショッピングモールのレンタル版だ。
自社の製品をレンタルしたい企業がカウリル上に出店し、同システムを用いてユーザーにさまざまなモノを貸し出す。カウリルは両者を繋ぐプラットフォームとして機能し、レンタル料金の10%を手数料として受け取る。

カメラやキャンプ用品などを必要な時にだけ借りる通常のレンタルに加えて、気になる製品を試しに使ってみてから購入できる「レンタル後購入」の仕組みも構築。いきなり買うのはハードルが高いモノについては一度レンタルを通じて使い勝手を試し、納得できた場合には差額を払って購入することが可能だ。
TENT代表取締役の松田基臣氏によると近年シェアリングやサブスクリプションといった概念が社会に浸透しつつある一方で、従来消費の中心だった小売企業やメーカーが波に乗れてない現状があるという。
カウリルで目指すのはそのような事業者を巻き込んだレンタルプラットフォームを作ること。企業は同サービスを介してレンタルに関心のあるユーザーを獲得できるだけでなく、「お試し利用」という新しい選択肢を提示することもできる。
現在は準備中の企業も含め約30社がカウリルを利用。直近ではゴルフ用品販売大手の有賀園ゴルフやブックオフなど、大手事業者との取り組みも始めている。
またTENTではカウリルと並行してレンタルに特化した在庫管理ツール・ZAIKAを手掛ける。
同サービスではRFIDタグを活用し発送時の検品作業を効率化するとともに、レンタル事業における重要な指標を自動でレポーティング。「各製品がどのくらいレンタルされたか」「それぞれの収益率がいくらか」 といった指標を常に把握できるのが特徴だ。

このサービスをフックとしてカウリルに出品していないような既存のレンタル事業者なども巻き込み、日本最大級のレンタルプラットフォームを目指していくという。
TENTは2017年7月の創業。もともとはキャンプメディアの運営からスタートし、そこから派生する形でキャンプ用品のレンタルサービスを始めたのがカウリルを開発するきっかけになった。
一部のキャンプ用品に関しては今でも自社で仕入れた商品をユーザーに貸し出しているが、知見のない領域で事業を広げていくにあたっては専門知識のあるメーカーに参入してもらった方が良いと考え、2019年から現在のプラットフォーム型に移行している。

モノのレンタルサービスに関しては過去に紹介したレンティオのほか、エアクローゼットが手掛ける「airCloset Mall(エアクロモール)」をはじめ、日本でも複数のプレーヤーが台頭し始めている領域。シェアリングやサブスクリプションへの注目が集まる中で、モノとの付き合い方も拡張されていきそうだ。