ムードペアリングティーのブランド「YOU IN」 すべての画像提供:Gunosy
ムードペアリングティーのブランド「YOU IN」 すべての画像提供:Gunosy
  • なぜGunosyがお茶のD2C事業に取り組むのか
  • YOU INに詰め込んだ「こだわり」
  • コロナ禍での新規事業の立ち上げの裏側
  • YOU INが叶えたい世界

情報キュレーションアプリ「グノシー」や女性向け総合情報アプリ「LUCRA(ルクラ)」などメディア事業を展開するGunosy。同社は2021年3月「グノシーの運営で培ったメディア事業の顧客接点、マーケティング力、データ分析力を武器にD2C領域に参入する」と発表した。その第一弾として立ち上がったのが、気分やシーンに合わせてお茶を楽しく選べるムードペアリングティーのブランド「YOU IN」だ。

お茶の監修は裏千家茶道家であり、TeaRoom代表取締役の岩本涼(茶名:岩本宗涼)氏が担当。300種類以上の原料やブレンドを吟味し、開発したという。

なぜ、最初のプロダクトが「お茶」だったのはなぜか。YOU INの立ち上げに携わった深谷江里子氏が開発の舞台裏をつづる。

なぜGunosyがお茶のD2C事業に取り組むのか

「情報を世界中の人に最適に届ける」を企業理念に掲げるGunosyは、爆発的に情報が増え続ける情報過多の社会において、受け取り手が必要な情報を受け取ることができないという社会課題をテクノロジーで解決するために創業された。

YOU INはそのGunosyで、自分の気持ちにペアリングしてくれる、お茶のD2Cブランドとして誕生した。ゆったり過ごしたい夜に ぴったりのカモミール×アップルフレイバーの「SLOW NIGHT」やオフラインで過ごしたい時にもってこいのほうじ茶×ジンジャーフレイバーの「OFF SNS」など、日常の中にある9つのムードに寄り添う、9つのフレーバーのティーバッグを提供する。

現代という、変化の激しい時代背景や昨今のコロナ禍の影響で変化する情報の受け取り手の環境、ライフスタイルに寄り添う1つの方法として、D2C領域で新たな価値を生み出したい、と思ったことがYOU INが生まれたきっかけだった。

中でも一番インパクトがあったのが、コロナ禍による生活環境の変化だった。突然やってきたニューノーマルな時代。これまでの当たり前が当たり前でなくなり、自分と向き合う時間が増えた人も多いはずだ。「家庭内で新しいストレスが増えた」という人もいれば、「人に会えなくて寂しい」という声も聞いた。

現にGunosyでも半ば突然にリモートワークを始めることになり、その時に思ったことは「自分の機嫌は自分で取れる大人になりたい」ということだった。他者との関係が薄くなる中で、小さなストレスや一喜一憂することも含めて、自分の気持ちとうまく付き合っていきたいと思った。そこで、自分の気持ちにペアリングしてくれる存在があれば、とても心強いのではないかと考え、生まれたのがYOU INのコンセプトだった。

ちなみにみなさんは、最近お湯を沸かしてお茶を飲んでいるだろうか。最近温かいお茶を家で飲んでいないという人は、そのシーンを想像してみてほしい。

例えば、マグカップで飲む熱々のミルクティー。夕食の後に家族で飲む緑茶。パッと香り立つ癒しのハーブティー。どれもとても温かく、ほっと安堵する瞬間がイメージできたのではないだろうか。私たちはこのようなお茶の持つ「心に与えるエネルギー」を信じている。

YOU INに詰め込んだ「こだわり」

YOU INの開発においてこだわったポイントは大きく2つある。ひとつが「味」へのこだわり。もう一つが「デザイン」へのこだわりだ。まず、味へのこだわりについて話したい。今回、 岩本氏を監修に迎え、YOU INの9つのムードに寄り添えるブレンドを追究した。

岩本氏と話す中で、お茶市場について知ったことの1つは、国内のお茶市場の価格下落問題だ。国内のお茶市場は、清涼飲料水の成長と共に拡大したと言われている。それと同時にお茶はペットボトルでゴクゴク飲むもの、という文化が広がったことにより、お茶の価格が上がりづらくなっているという現状も知った。

実際、コロナ禍で廃業になっているお茶農園も多く、老舗のお茶農園には厳しい状況が続いている。日本発の“お茶”という素晴らしい文化を見直していくためにも、味と香りがそのときのムードに寄り添う、ハイクオリティな新しい「お茶」を創り上げたい──そんな想いからYOU INの開発が始まった。

食品に対する無添加やオーガニックへの意識が高まるなか、フレーバーティー市場においても我々が目指したのは、天然原料をベースにした自然な香りの実現だ。飲んでいただくシーンや気分を想像しながら、300種類以上の原料やブレンドを吟味して、遂に我々は自信を持ってお届けできる「お茶」を実現することができた。

事前にGunosy社ユーザーを対象にとったコンセプト調査の結果
事前にGunosyのユーザーを対象にとったコンセプト調査の結果

またデザインに関しては、オンラインを中心に販売していくため、従来のお茶のほっこりしたイメージをくつがえすデザインにしたいと決めていた。お茶と聞いて興味がわかない人も手にとるきっかけをつくり出し、1人でも多くの人にYOU INに込めた想いを伝えるため、ハッと目を引くデザインと使いやすさを追求したいと考えた。

デザインに限らず、Gunosyが新しいアイデアを考える時に重要だと考えていることは、全く別の業界のアイデアから応用できないかという視点を常に持っておくこと。

世の中にこれまでにない全く新しいアイデアを生み出すことは困難だが、斬新だと言われるアイデアのほとんどが既存のもの同士の組み合わせによって生まれている。Gunosyでも、その視点をもとにお茶業界に限らず、さまざまなパッケージやUXの情報収集を行った。

そして誕生したYOU INは、まるで物語の詰まった一冊の本のように、眺めても写真に収めても飾っても楽しめる、アートのような設計を意識した。

コロナ禍での新規事業の立ち上げの裏側

YOU INはまさにコロナ禍の課題とともにコンセプトが誕生し、計画され、そして発表された。その一連の流れはほぼすべて、リモートワークで行われた。2019年だったら「新規事業をリモートで立ち上げるのは無理でしょ」と思っていたことだろう。

確かに最初は慣れないこともあり、議論を進めるのにも苦労したが、慣れてくるとスムーズになってくる。お茶の製品開発だけに、メンバーで集まって試飲会をすることもあったが、最終的には試飲会もそれぞれの自宅からリモートで行えるようになった。

ちなみにYOU INチームはまだ小さい組織ながらも、さまざまな働き方をしているメンバーがいる。私自身、子育てをしながらパラレルワークをしているが、リモートワークだと子育てをしながらでも働く上での利点が多いことを実感した。

事業の進め方のテクニカルな話とは別に、コンセプトにおいてもコロナ禍における新たな気づきがあった。新型コロナウイルスに感染しないよう、免疫力を付けるといったように身体の健康を気にするようになった。その一方で、外出の自粛によりこれまで当たり前にできていた心の健康を維持する活動ができなくなった人も多いはずだ。

ウェルネス思想の根幹とも言える、「肉体と精神」両方の健康が伴ってこそ、はじめて「健康」であるといえるのだと再認識し、プロダクトを磨き込んでいくことができた。

リモートでのお茶の試飲会の様子
リモートでのお茶の試飲会の様子

YOU INが叶えたい世界

YOU INが目指しているのは、お茶のブランドを広めることではない。今回のムードペアリングティーは「ムードペアリング」という概念を広める1つのアプローチ方法であるため、今後もYOU INというブランドの傘下で、さまざまなプロダクトを展開していきたいと考えている。

ブランド名のYOUとINは、陽なときも陰なときも、あなたに寄り添うという意味を表現している。気分転換したいときも、何も考えない余白の時間も、散歩のときも、眠る前も。いつでもYOU INがあなたにペアリングできますように──それがYOU INに込めた想いだ。陽なときも陰なときも、その瞬間を大切に、そして自分を肯定できるように手助けをすることをミッションに、これからもブランドづくりをしていきたい。

深谷江里子(ふかや・えりこ)
大学卒業後、新卒でサイバーエージェントに入社。2014年に当時20人程度の規模だったGunosyに入社し、広告営業の立ち上げを行う。LUCRAのマーケティング責任者を兼任中にYOU INの立ち上げに携わる。茶道家・華道家の祖母を持ち、幼い頃から抹茶と和菓子好き。一児の母。