資金調達にサービスの立ち上げ、上場や事業売却と、ポジティブな側面が取り上げられがちなスタートアップだが、その実態は、失敗や苦悩の連続だ。この連載では、起業家の生々しい「失敗」、そしてそれを乗り越えた「実体験」を動画とテキストのインタビューで学んでいく。第6回はマネーフォワード代表取締役社長 CEOの辻庸介氏の「失敗」について聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 岩本有平、動画ディレクション/ダイヤモンド編集部 久保田剛史)

 個人向けの自動家計簿サービス「マネーフォワード ME」や法人向けのクラウド型会計サービス「マネーフォワード クラウド会計」などを展開するマネーフォワード。代表取締役社長 CEOの辻庸介氏は、ソニー、マネックス証券を経て、2012年に仲間とともに起業した(当初の社名はマネーブック株式会社)。

マネーフォワード代表取締役社長 CEOの辻庸介氏 写真提供:マネーフォワードマネーフォワード代表取締役社長 CEOの辻庸介氏 写真提供:マネーフォワード

 創業の地に選んだのは、東京・高田馬場のワンルームマンション。そこで、文字通り寝る間も惜しんで開発したサービス「マネーフォワード ME」は、900万人が利用するサービスにまで拡大した。2017年には東証マザーズ市場への上場を果たし、創業時6人だったメンバーも、700人にまで拡大している。

 一見、順風満帆にも思える同社。だが。ほかのスタートアップと同じく多くのハードシングスに直面してきた。その中でも最大の失敗は、「人」に関することだと辻氏は振り返る。プロダクトに集中するあまり、働き方や価値観の異なるメンバーとの関係が崩れてしまったことも少なくない。そんな苦境をどのようにして乗り越えたのかを語ってもらおう。

 なお今回は、マネーフォワードの広報部長やリーダー職のメンバーにも参加してもらい、座談会形式で撮影を行った。次ページ以降は、辻氏とメンバーによるQ&A形式でお伝えしていく。