Photo:Tirachard/gettyimages
Photo:Tirachard/gettyimages

アプリのダウンロード不要で即座に遊べるインスタントプレイゲーム。これまではFacebook、SnapchatやLINEといったSNSやメッセンジャーアプリ上でプレイできるものだったが、今後はより多くのプラットフォーム上で展開されそうだ。

7月にはビデオチャットツールのZoomが外部アプリのマーケットプレイス「Zoom Apps」を展開し、ビジネスツールのほか、ゲームアプリの提供も始めた。動画配信サービス大手のNetflixもゲームのストリーミング配信を計画している。

Zoomをはじめとするプラットフォームにとってゲーム配信のメリットは何か。ソーシャルゲーム業界のパイオニアである米Zynga共同創設者で、インスタントゲームを開発するPlayco共同創業者兼プレジデントのJustin Waldron氏に聞いた。Playcoでは7月よりZoomで遊べる2つのゲームを提供する。

──7月にはZoomで遊べるゲーム「Heads Up!」と「Ask Away」を発表しました。

Heads Up!は、人気テレビ番組「The Ellen DeGeneres Show」とのコラボで誕生したゲームです。他のプレーヤーからのヒントをもとに、自分にお題として与えられた単語を当てるというものです。

「Heads Up!」のイメージ画像
「Heads Up!」のイメージ画像

もう一つのAsk Awayはアイスブレイクに適したゲームです。自分に関する質問を、他のプレーヤーに答えてもらうというものです。普段のオンライン会議では見られない同僚の意外な一面を知ったりできるのが特徴です。

「Ask Away」のイメージ画像
「Ask Away」のイメージ画像

いずれのゲームも、Zoomアプリと完全統合されており、Zoom上のミーティングから直接アクセスが可能です。

Zoom Appsのローンチと同時に複数のアプリを提供開始したのはPlaycoだけです。他社のゲームは既存のゲームをZoomに移しただけのようなもの。プラットフォームに最適化されているとは言い難いでしょう。一方、我々は何も設定をしなくても、1クリックで全員がゲームを開始できる世界感を目指しています。

──Zoomがゲームアプリを提供するする狙いはなんでしょうか。

Playcoでは、多くの人がビデオチャットを利用しているのにも関わらず、みんなで楽しむためのエンタメ要素が少ないのではないかと感じています。せっかくバーチャル空間に集まっても遊ぶためのおもちゃが少なかったため、Ask AwayとHeads Up!を開発しました。

Zoomは快適に動作するビデオチャットとして地位を確立しました。ですが今では他社の製品も高品質になってきているため、単にビデオチャットを提供するだけでなく、ライブ接続を生かし、付加価値となるようなサービスを展開する必要があるのです。

ビデオチャットの分野ではまだゲーム企業によるイノベーションが起こっていません。そのため、ビデオとゲームを組み合わせた新たな体験には大きな可能性を感じています。今後もZoomとの連携のもと、ゲームをリリースしていく予定です。

──Netflixもゲームのストリーミング配信を計画しています。ビデオゲーム開発担当バイスプレジデントに、Oculusのバーチャルリアリティ部門でバイスプレジデントを務め、Zyngaでも活躍したMike Verdu氏が就任したとのニュースもありました。

ゲームはソフトウェアの中で最も収益性が高く、また継続的に利用されます。そのため、多くのユーザーを抱えるプラットフォームが「どのようにゲームを統合するのか」と考えることは非常に理にかなっていると言えるでしょう。

Netflixの場合、ユーザーが映画やドラマに対して毎月支払う金額は決まっています。しかしゲームなら、ビジネスモデルによっては、収益の規模を拡大できるでしょう。ゲームを配信することで、Netflixに加入しているユーザー1人当たりの収益は、映画のコンテンツを増やすよりもはるかに大きくなるはずです。

Netflixのゲーム事業に懐疑的な人もいるようですが、私はZyngaでMike Verdu氏と一緒に仕事をした経験から、彼が非常に優秀なことを知っています。

──PlaycoではFacebook、Snapchat、LINEに続きZoomでもゲームを提供開始しました。次はどのようなプラットフォームに参入しますか。

今年は続々と新たなゲームプラットフォームが登場する大きな1年になると予測しており、そのすべてに携わりたいと思っています。ZoomやNetflixだけでなく、TikTokも参入する予定だという噂もあります。私たちは「今後10年間で多くの企業がゲーム市場に参入する」と考えています。

多くのゲーム会社は、メタバース(編集部注:ネット上の三次元空間)の開発に力を入れています。何百人ものチームで何年もかけて、1つの広大なゲーム空間を作ろうとしているのです。一方、Playcoでは各プラットフォームに適したコンテンツを開発しており、ゲーム自体はシンプルなものです。

各プラットフォームごとのユーザー傾向を理解することで、より大規模なゲーム開発に投資ができるようになります。ですから、各プラットフォームでの実験を迅速に行わなければならないのです。

Zoomでのゲーム提供は大きな第一歩。今後はより大きな発表も予定しています。