BASEカードの公式サイトのスクリーンショット
BASEカードの公式サイトのスクリーンショット

コロナ禍の外出自粛要請の伴う“巣ごもり消費”の増加によって、EC需要が拡大。総務省が実施している「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について」によれば、ネットショッピング利用世帯の割合は51.8%(2021年7月時点)となっている。

EC需要の拡大によって、多くの事業者が販売機会を増やすことができた一方、資金繰りに悩む事業者も少なくない。例えば、一般的な決済サービスは月末締め、翌月の数営業日後に売上金が入金されるサイクルのため、キャッシュフローが悪化するリスクも高くなってしまう。そうした事態を防ぐため、ネットショップ作成サービスを提供する会社の多くは、売上金を即日で入金するサービスなどを提供している。

ネットショップ作成サービス「BASE」を運営するBASEも、その1社だ。BASEは子会社のBASE BANKを通じて、売上金の入金日を最短で翌営業日に短縮できる「お急ぎ振込」や、リスクなく資金調達を行えるサービス「YELL BANK」を加盟店向けに提供してきた。同社は新たに小規模事業者の資金課題を解決するサービスを開始した。

BASEは9月21日、加盟店のキャッシュフロー早期化を目的に、ネットショップの売上をすぐに全国のVISA加盟店で利用できるバーチャルカード「BASEカード」の提供を開始した。本日から先行受付を開始し、翌週以降に順次バーチャルカードの発行を開始する予定だという(編集部注:BASEカードの企画・開発はお急ぎ振込やYELL BANKと同様に、子会社のBASE BANKが行う)。

BASEカードは利用にあたって、月額費や入会金、決済手数料などは一切かからない。なお、利用上限額は本人確認前は1回あたり3万円、1カ月あたり12万円、1枚あたり100万円となっているが、本人確認後は1回あたり、1カ月あたりがそれぞれ100万円、1枚あたりは上限なしに増額することができる。

BASEによれば、BASE加盟店を対象に実施した資金繰りに関するアンケートの結果、半数以上が「困った経験がある」と回答。また、資金繰りの課題に対して、約4割が「何もしていない」と回答したとのこと。そうした状況を踏まえ、加盟店がいつでも売上金を使用できる状態にするために、BASEカードの提供に至ったという。

「BASE BANKを立ち上げた時から、入金の最適化と出金の最適化は実現したいと思っており、BASEカードはそれが順次形になってきている中のひとつです。プラットフォームの規模があまりにも小さいタイミングで始めると、ユーザーに提供したい付加価値をつくり込めない可能性があるため、当初から今くらいの規模感になったタイミングで始めたいと思っていました」とBASE代表取締役CEOの鶴岡裕太氏は語る。

BASEカードは現状、バーチャルカードでの提供となるが、2022年上半期にはオフラインでも使用できるリアルカードの発行を予定している。また、2022年中の提供開始を目標に「商品発送前の売上の買取」や、そのほかにも新たな信用創造を目的とした資金調達サービスの提供も予定しているという。

「個人や小さなチームが新しい価値を作っていく上で、現状では世の中の金融のメリットをすべて享受できているわけではないと思います。BASE BANKはロングテールのすべての方に金融を活用するメリットを届けられるようにしていきます」(鶴岡氏)