ブロックチェーンはなぜ生まれ、何を目指すのか──記録の技術の歴史が解き明かす背景
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「ブロックチェーンは記録の技術の進化系であり、『信頼』を拡張するテクノロジーとして、世の中に大きなインパクトを与えるだろう」。ブロックチェーン関連事業のスタートアップ、Ginco創業者で書籍『超入門ブロックチェーン』(エムディエヌコーポレーション)などの解説書を著してきた森川夢佑斗氏は、そう語る。

なぜブロックチェーンは生まれてきたのか? ブロックチェーンは何を目指しているのか。「ブロックチェーンは、アナログと最新テクノロジーの融合のために生まれてきた」と考える森川氏が、「記録の技術」がたどってきた歴史的な背景から、ブロックチェーン技術が誕生した意味をひもとく。

※本稿は、森川夢佑斗『超入門ブロックチェーン』(エムディエヌコーポレーション)を一部抜粋・再編集したものです。

社会を変革してきた「記録の技術」

私が「ブロックチェーンが世の中に大きなインパクトを与える技術である」と考えるに至ったのは、ビットコインに出会った瞬間ではなく、その本質的な仕組みが「誰か特定の存在に依らず情報を記録する技術である」ということを理解した時でした。

そもそも「記録」とは、この世の中で起きた出来事を、他者に伝えるために、なんらかの媒体に写し取っていく行為であり、コミュニケーションの一手法です。また、私たち人類はコミュニケーションの技術を駆使して社会を形成してきた動物です。そのため記録の技術というのは、これまでも私たちの社会を大きく変革させてきました。