
- 活動量や開発効率を見える化する「エンジニア組織のGoogle アナリティクス」
- 企業を悩ませる「エンジニアマネージャー忙しすぎる問題」
- 6万人のエンジニアが登録する既存サービスの技術を応用
エンジニア向け開発プラットフォーム「GitHub」の情報を活用して、1人1人のエンジニアのスキルを“偏差値”として見える化するサービス「Findy(ファインディ)」。同サービスを手がけるファインディが、今度は“エンジニア組織”のコンディション診断に関する取り組みを本格化させる。
ファインディが10月19日に正式ローンチした「Findy Teams」ではGitHubやJiraなどの情報を自動で解析し、チームの生産性を可視化するとともにパフォーマンスの向上を支援する。
活動量や開発効率を見える化する「エンジニア組織のGoogle アナリティクス」
Findy Teamsは「開発アクティビティ」「開発効率」「開発クオリティ」という3つの切り口から、エンジニアチームの状態を自動で分析してくれるサービスだ。
これらの指標を手作業で収集せずとも、GitHubやJiraなどの開発者向けサービスと連携するだけで自動的に集計してくれるのがFindy Teamsの特徴だ。
ファインディ代表取締役CEOの山田裕一朗氏いわく「エンジニア組織のGoogle アナリティクスのようなイメージ」。エンジニア組織全体はもちろん、開発チーム単位や個人単位でスタッツを細かく分析できるほか、重要な指標を一覧にした日別・週別のレポートも充実している。


また活動量が多すぎるメンバーや少なすぎるメンバーなど、“優先的にフォローアップした方が良いと考えられる人”を自動でピックアップする機能を搭載。何かしら課題を抱えていたり、放っておくと退職にも繋がりかねない兆候にも早い段階で気付きやすい仕組みを作った。
企業を悩ませる「エンジニアマネージャー忙しすぎる問題」
Findy Teamsはこれまでベータ版として30〜40社に試験的に提供してきた。
利用企業はスタートアップからメガベンチャー、DXに積極的な企業や受託開発企業など幅広い。本日ローンチされた正式版はミニマムで月額5万円から利用でき、解析の対象となる人数によって料金が変わる。山田氏によるとすでに20社弱の企業が先行して有料で使い始めているという。
Findy Teamsが活用される背景にあるのが、エンジニア組織を取り巻く環境の変化と、それに伴う組織づくりやマネジメントの難易度の上昇だ。山田氏の特に影響が大きい要因として「エンジニア採用の競争激化と、コロナ禍によるリモートワークの拡大」を挙げる。
近年はスタートアップの大規模資金調達や大企業のDX推進によって、エンジニアの採用競争が加熱してきている。中でもエンジニアマネージャーはなり手が少なく、人材が不足しやすい。そのため1人のマネージャーが担当するメンバーの数が増えていく構造にあるという。
「結果として現場で何が起きているかというと、1on1と採用面談でエンジニアマネージャーのほとんどの時間が埋まってしまっている。ただでさえメンバーの状態の変化や退職の兆候を把握するのが難しい状態なのに、リモートワークの導入でその難易度がさらに上がっているんです」(山田氏)

たとえば1on1をするにしても、メンバーの日々の活動状況などを把握するにはGitHub上のアクションなどを逐一、目視で確かめる必要があった。それが数人程度であれば対応できるものの、10人を超えてくると「負担が大きく、細かく見るのが難しくなってくる」(山田氏)という。
Findy Teamsを担当するファインディ取締役CTOの佐藤将高氏によると、今までは気合と根性で残業をして対応するか、ある程度は仕方ないと割り切るくらいしか選択肢がなかった。
言わば「エンジニアマネージャー忙しすぎる問題」(山田氏)がさまざまな組織で顕在化し始めている状況なのだという。
だからこそFindy Teamsの開発にあたっては「マネージャーの負担をどれだけ減らせるか」を1つのポイントに、手を動かさずともチームやメンバーの状態を把握できることを意識した。またリモート環境で直接顔を合わせる機会が減っている企業も増えているからこそ、定量的な指標で可視化することにもこだわったそうだ。

6万人のエンジニアが登録する既存サービスの技術を応用
これまでファインディでは独自アルゴリズムを用いたスキル偏差値をウリに、エンジニアと企業をマッチングする採用サービスを運営してきた。
現在同社のサービスは6万人を超えるエンジニアと約600社の企業が登録する規模へと成長。今回のFindy Teamsも既存サービスで培ってきた技術やノウハウを応用するかたちで開発したものだ。
もともとこのサービスを作ったのも、CTOである佐藤氏自身が限られた時間の中で「エンジニアチームや個々のエンジニアの状態を把握するのが難しくなってきている」と感じたから。周囲のCTOやエンジニアリーダーに話を聞いても同じような課題を持つ人が多かったこともあり、サービスの立ち上げに着手した。
「自分自身が使いたいと思えるものにしたい」と考え、まずは自社内の1on1でプロトタイプを実際に利用してみるなど、ドッグフーディング(社内利用)をしながら改良を重ねてきたという。
今後はエンジニア組織の状態を測定するための機能を充実させながら、ゆくゆくはアルゴリズムを駆使して具体的な改善策をレコメンドするような仕組みなども取り入れていく計画だ。