るVC主催の招待制イベント「B Dash Camp 2021 Fall in Fukuoka」で新進気鋭のスタートアップが競い合うピッチコンテスト「Pitch Arena」が開催された。優勝したのはRsmile。
るVC主催の招待制イベント「B Dash Camp 2021 Fall in Fukuoka」で新進気鋭のスタートアップが競い合うピッチコンテスト「Pitch Arena」が開催された。優勝したのはRsmile。

10月21〜22日の2日間、福岡で開催されているVC主催の招待制イベント「B Dash Camp 2021 Fall in Fukuoka」。22日には新進気鋭のスタートアップが競い合うピッチコンテスト「Pitch Arena」の決勝戦が開催された。

当日は予選(ファーストラウンド)を通過した6社のスタートアップが決勝(ファイナルラウンド)に登壇。優勝したのはマンションの管理者と軽作業者をマッチングするRsmileだった。ファイナルラウンドに進出した全6社のスタートアップの概要は以下のとおりだ。

物流業界のDXを手がけるascend

国内の物流を支える中小トラック運送業者は、深刻な人手不足(他業界平均比で約2倍)や高齢化(20代の就業者は1割未満)など、厳しい経営環境に置かれている。また、作業もアナログで行われているため、業務の効率化も進んでいない。

そうした物流業界が抱える課題を解決すべく、ascendは運送事業者の運行管理業務をデジタル化することで一元集約し、運送業者の売り上げに直結する物流データを可視化する運送管理SaaS「アセンド・ロジ」の開発、運用を手がけている。

2021年10月にはサムライインキュベート、ALL STAR SAAS FUND、物流不動産会社1社からプレシリーズAラウンドで総額1.4億円の資金調達を実施している。

宿泊業のDXを手がけるクイッキン

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、宿泊施設のあり方が変化。感染拡大防止の観点から、チェックインなども“非接触”での対応が求められるようになっている。

宿泊施設の非接触化をサポートすべく、クイッキンは非接触型のチェックイン機能をベースにした基幹システム「aiPass(アイパス)」を宿泊施設に提供している。現在、導入施設は1万室を突破しているとのこと。2021年1月にサイバーエージェント・キャピタルなどから、総額6000万円の資金調達を実施している。

介護ツールのバーティカルメディアを展開するGiverLink

世界一の超高齢社会とも言われている日本。総務省が発表した「令和3年版高齢社会白書」によれば、総人口に占める65歳以上の人口の割合(高齢化率)は28.8%となっている。

今後も高齢者の割合は増えていくことが予想されており、それに伴って高齢者の“介護”のニーズも高まっていく。GiverLinkは介護職員・介護従事者がケアに集中できるようにすべく、国内に存在する介護ICTツールを比較検討し、一括資料請求から無料相談まで行えるバーティカルメディア「介護のコミミ」を提供している。

2020年8月に正式リリース以降、500法人以上が利用しているほか、リード提供数は2500件を突破しているという。2021年6月には、伊藤忠テクノロジーベンチャーズからシードラウンドで総額1億円の資金調達を実施している。

ベンダーとパートナーの連携を自動化するパートナーサクセス

ベンダー(製造元)のパートナー(代理店)が行っている煩雑な業務フローの大部分を自動化・分析。代理店の案件進捗や行動を可視化し、データベース化するPRM(パートナーリレーションシップマネジメント)ツール「PartnerSuccess」を展開している。

PartnerSuccessは商品登録をすれば、販売代理店の取り扱い商品を一元管理できるほか、日次の販売代理店活動を自動でレポート化してくれる。また、PartnerSuccess以外にも「代理店戦略コンサルティングサービス」を展開しており、導入企業の中には、3カ月で代理店社数が4倍、案件数が10倍に拡大した企業もいるという。

戦略的なプライシング実行を支援するプライシングスタジオ

企業活動において利益の源泉とも言える「価格」。マッキンゼーの調査によれば、価格を1%上昇させることで企業の営業利益は23.2%上昇すると言われている。ただ、多くの企業はリソースが割けないなどの理由から、価格の最適化が実現できていない。

そうした課題に対して、戦略的なプライシング実行を支援するサービス「Pricing Sprint」を提供しているのがプライシングスタジオだ。Pricing Sprintは、PSM(Pricing Sensitivity Meter)を用いて顧客の支払意欲を分析・可視化。最適な価格戦略の構築を支援する。

サービスリリースから数カ月で、マネーフォワードやスナックミーなどの企業が導入している。2021年1月にはSTRIVE、East Ventures、サイバーエージェント・キャピタルから1億円の資金調達を実施している。

マンションの管理者と軽作業者をマッチングするRsmile

マンション・アパートの所有者・管理者と、近所で働きたい人をマッチングするサービス「COSOJI(こそーじ)」を展開しているのが、Rsmileだ。COSOJIはマンション・アパートの所有者・管理者が共⽤部清掃、草刈り、⽬視点検、電球交換といった軽作業を依頼し、それに興味を持った人がマッチングされ、作業を実施するという仕組みとなっている。

管理会社や清掃会社が間に入らず、作業者に直接依頼できるため、マンション・アパートの所有者・管理者は清掃、メンテナンスのコストを抑えられる。また、すべてスマホ内で完結するので、清掃依頼や報告確認が簡単に行える。2021年8月には、立命館ソーシャルインパクトファンド投資事業有限責任組合から資金調達を実施している。